獣人の扱いとそれに纏わる神話

2023/1/18

獣と人が交わる事はできても、子を為す事は現在の科学技術では不可能である。
では何故獣人が存在しているのかというヒントは
各国共通の神話に記されていると信じられている。

「その女は夫と結ばれた末に、獣の子を産んだ。
獣に体を預けた為に、夫の種に獣が入り込んだからだ。
獣の繁殖力は悍ましい程に強く、
以下百代に渡りこの血脈は獣の血に穢された。」

若者、とりわけウェンディア人の中には
この神話に意を唱える者も多い。
人は獣人の一種であり、全ての人類は獣から進化した。
現在非獣人と呼ばれるものさえ人という名の獣に過ぎないというのが定番の対立命題である。
なお、猿の獣人は存在し、尻尾の有無や足の親指の位置などで非獣人とは区別されるため
人が猿から進化したという発想を持つものは居ないと言ってもいい。

然しながら、人類は神の子孫であるという命題を立証しているとされているのが
魔術の存在である。
この世界において魔術とは言葉とイコールであるため、
「言葉を話す事が神の子孫である証拠」と言い換えられる。

総じて獣人の発生についてはタブー視されている傾向にあり
学者でもない限り言及しないのが一般的。

従って「では、非獣人同士で交配した上、獣と交わったらどうなるのか」
という実験は倫理的に問題視され、実行に移すものはほぼ居ないだろう。
よしんば獣人を産んだとて、「獣人と交わっただけだろう」と言われておしまいである。
この世界の遺伝子学はまだ、そう進んでいない。

肉食の扱いについては、「言葉を話すかどうか」が共通価値観の鍵であり
豚肉を食べたからといって、豚の獣人が憤る事は無いだろう。(菜食主義者は多いかもしれない)

プリオン病