あなたは訓練場へと向かう為に、
来た道をもう一度振り返った。

  • ???
    ……最後の訓練は……
  • ???
    ここに連れてこられた、ウェンディア人の捕虜を殺める事だったな。

それは、あなたも聞き及んでいた事実だった。
あの時足を止めたのは、それが理由なのかもしれない。

  • ???
    …………安心しな。そいつは魔術で生み出された幻影だ。
    連中はアンタらの覚悟を図ろうとしてるんだ。
    迷ってもいい、躊躇してもいい、こんな事いやだと泣き叫んだっていい。
    ……ただ逃げさえしなきゃ、明日正規ルートで毎琳行きの船へ乗せてもらえる。
  • ???
    決して忘れるなよ。
    断じて清くなどない、腥い血溜まりの中に飛び込む覚悟を決めたこと。
    英雄の手は血で汚されるものだということを。

男はあなたを送り出そうと、あなたの背中に一歩歩み寄った。
けれど肩を叩こうとするその手があなたに触れそうになった所で、はっと後ずさりをした。

  • ???
    …………

そういえば、男は気になる事を言っていた。
あなたはそれについて尋ねようとするだろうか。

  • ???
    ……最後の訓練の真相を、
    何故俺が知ってるか気になるって顔、してるんじゃないか?
  • ???
    ……94回も見てきたからなぁ。

男はそうぼやいたが、決してそれほど老けているようには見えなかったはずだ……
あなたは振り返り、男の顔を見ようとする。

しかし……

そこにもう男の姿はなかった。
まるで、はじめから居なかったかのように。

あなたは暗い道を一歩踏み出すだろう。
それは、修羅へと続く道だ。